小児の診療
小児の診療

小児の診療について

子どもの感染症に対する当院の考え方

不必要な投薬や、耐性菌の感染を防ぐために

副鼻腔炎や中耳炎をできるだけ早く治すには、原因となるばい菌の特定が非常に大切です。

原因となるばい菌に合わない抗生物質の使用は病気が治らないばかりか、逆に治療の困難な耐性菌による副鼻腔炎、中耳炎を作る原因になってしまいます。
悲しいことにウイルス感染(かぜ)に抗生物質が処方されていることが、この国の状況です。かぜはウイルス感染ですので抗生物質は何の役にも立たないばかりか、子どもをばい菌から守っている善玉菌も殺してしまい、結果として悪玉ばい菌がはびこるという最悪の事態におちいってしまいます。

小児診療イメージ

当院では細菌検査を行っています

当院では原因となるばい菌をリアルタイムで特定する検査を適宜行っています。
その場で結果がわかりますので、最適なお薬もすぐに決定することができますし、最小量の薬での治療が可能となります。また、ウイルス感染のみで抗生物質が必要ないときは自信をもって「抗生物質はいらないよ」とお伝えすることができます。

今後もこの方針で理にかなった感染症治療をしていきたいと考えております。少しお時間はいただきますが、ご協力お願い申し上げます。

画像:沖田耳鼻咽喉科独自のばい菌ターゲット治療コンセプト
診察時のお願い

診察時は、安全に診療を行うため、お子さんが動かないようにしていただく必要があります。適切な姿勢で抱っこしていただけますようご協力をお願いいたします。

  1. お子さんを後ろから抱っこして、手が動かないように肩の上から保護者の方の手を上からクロスします。
  2. 足が動かないように、保護者の方の足を上からクロスします。
画像:肩の上からクロス、足をはさんでクロス

よくあるご質問

小児科・耳鼻科どっちに行ったらいいの?

「小児科、耳鼻咽喉科どっちに行ったらいいの?」と患者様からよくご質問いただきます。
当院の考えをまとめてみました。参考までに。

39度を超える熱で、ぐったりしている、咳がひどい場合
髄膜炎や肺炎、気管支炎などが考えられますので小児科のほうがよいと思います。
39度を超える熱で、比較的元気、あまり咳はない場合
咽頭・扁桃腺の症状、中耳炎が考えられますので、耳鼻科のほうが良いと思います。
熱もあるが、鼻水もある場合
鼻づまりの症状がつらいと、寝苦しかったり、副鼻腔炎(蓄膿:ちくのう)による頭痛をおこすこともあるので耳鼻科へ。解熱剤はどこでも揃えていますよ。
のどの痛みの場合
咽頭炎、扁桃炎の場合が考えられますので、耳鼻科へ。
熱はないが、咳がひどい場合
気管支炎、肺炎、喘息が考えられますので、小児科へ。しかし、小児科で治療を受けても改善しない場合は、蓄膿などにより粘調な鼻水がのどに落ちて咳が出ている場合がありますので、耳鼻科を受診してください。
喘息と思っていたのが、鼻を処置や薬で咳もでなくなったという患者さんは実際非常に多いです。しっかりした小児科の先生はよく見極めて、当院を紹介してくれております。
鼻水のひどい乳幼児さん
呼吸やミルクを飲む、食べることがつらそうですので、耳鼻科で鼻処置をうけたほうがいいでしょう。小児科で治療を受け、耳鼻科で処置を受ける患者さんも多いです。
下痢、吐き気など消化器症状がある場合
小児科がよいでしょう。

みみの症状

耳あか

頻繁なお掃除は耳を傷つける原因になります。週に1回ほどのペースで十分です。お耳掃除の範囲:軟骨部外耳道までの入り口から見える範囲だけを綿棒で掃除するようにします。耳の穴から1cm以内、目安は小指の爪が入る程度です。痛みを感じたらすぐ中止してください。お耳掃除のポイント:入浴後は耳あかが柔らかくなっているので掃除しやすいです。お耳掃除は、5~7日に1回のペースで十分です。耳かきは使ったら洗浄して清潔にしてください。綿棒や耳かきは短めに持ち、耳の壁をなでる様に掃除してください。綿棒はベビー用の細いものを使用してください。自然に取れない耳あかを無理に取らないでください。やりすぎると、かえって耳あかを増やします。

浸出性中耳炎(滲出性中耳炎)

原因:感染アレルギー

中耳の慢性の炎症による分泌液の増加や、耳管からの液の排出が悪くなり、中耳に分泌液が溜まった状態です。

図:中耳炎

はなの症状

副鼻腔炎

蓄膿症(副鼻腔炎)の症状

のどの症状

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナとは、発熱と口腔粘膜の発疹を特徴とした、小児の急性ウィルス性咽頭炎です。1歳代に流行することが多い夏かぜの代表疾患です。症状;突然の高熱、発疹(口腔内)、のどちんこの上周辺に多数の小水疱ができる(水疱が敗れて潰瘍を作ることもあります。) 月齢・年齢:4才以下 季節:夏 原因:コクサッキーAウイルス感染により病気になります。 経過について:一般的に数日で回復し、予後は良好です。

溶連菌感染症

溶連菌感染症とは、A群β-溶血性連鎖球菌の感染により起こる病気です。薬を飲めば、1~2日で普通の生活に戻れます。月齢:1~10才 季節:秋~春 症状:発熱、発疹、嘔吐、のどの腫れの他、舌にブツブツが生じます。 原因:A群β-溶血性連鎖球菌の飛沫感染や接触感染により病気になります。 潜伏期間は2~5日です。薬で治り、元気もあれば登校・通園もかまいません。

その他

手足口病

手足口病とは、手や足、口などに発疹ができる、急性ウィルス感染症です。たいていの場合、7~10日程度で自然に治まります。月齢・年齢:6ヶ月~ 季節:初夏~初冬 症状;口の中の粘膜や舌などに口内炎ができます。ほぼ同時に、手のひら、足の裏、指の腹にも水泡ができます。 原因:コクサッキーウイルスの一種の感染により病気になります。 治った後でも、比較的長期間、便などからウイルスが排泄されることがあるため、手洗いを徹底しましょう。

アデノウイルス感染症

アデノウイルス感染症は特に季節性がなく、その症状も軽いカゼ程度から重症の扁桃腺炎肺炎結膜炎嘔吐下痢症など症状も様々です。
また、 扁桃腺炎や結膜炎などはその症状が非常に強いです。

当院では、綿棒で拭い取ったのどの浸出液を調べることによって、その場でアデノウイルスの感染を診断することができます。

アデノウイルスの起こす病気

扁桃腺炎

悪寒・発熱、のどの奥に腫れはないですか?
扁桃炎は細菌感染などにより引き起こされる炎症で、のどの奥にある扁桃が赤く腫れを持ったり、激しい痛みを伴います。発熱全身倦怠感もあります。急性炎症をたびたび繰り返す場合を 「慢性扁桃炎」といいます。

重症化すると扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍という重い炎症と合併することもあるので、早めに受診される事をお勧めします。

咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウィルスの感染で結膜炎などを起こします。プールを介して流行しやすい為プール熱と呼ばれます。季節:夏 症状:5~6日の潜伏期間後に高熱や咽頭炎、結膜炎の症状が現れます。38~40度の高熱が4~7日続きます。のどの痛み、目の痛みや充血、かゆみの症状が起こります。 原因:感染した子供の鼻水や唾液が原因で伝染します。プールに限らず日常生活でも飛沫感染する事があります。 治療:対症療法が中心となります。高熱に対しては解熱剤を使用します。頭痛やのどの痛みには抗炎症剤や鎮痛剤を使用します。目の症状にはステロイド点眼薬を使用します。 家庭内での二次感染に注意しましょう。石鹸による手洗いを徹底する必要があります。

マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎とは、マイコプラズマ最近の感染により起こる病気です。普通の風邪と見分けがつきにくい事があります。季節:秋~春 症状:14~21日間の潜伏期間後に発熱や乾いたせき、倦怠感の症状が出ます。また、せきが続くと胸痛を感じやすくなります。39度を超える発熱が多いですが重症化には至りません。 原因:菌を持つ子供のせきによる飛沫感染や、接触感染によって発症します。 治療:自然治癒での回復も可能です。水分補給をして安静を保ちます。マクロライド系、ニューキノロン系の抗菌薬が治療に有効です。脱水症状を起こしたり、合併症を起こした場合は入院が必要です。 早期診断・治療で周囲への感染を防ぎます。予防には、手洗いとうがいが有効です。

インフルエンザ

インフルエンザは、感染力が強く、重い合併症を引き起こすこともある病気です。合併症として肺炎や脳症などが挙げられます。症状:発熱(1週間続く高熱)、鼻水、せき、高熱からくる寒気、のどの痛みなど 月齢・年齢:6ヶ月~ 季節:冬~春 普通の風邪(かぜ症候群)の原因:ライノウィルスなどの様々な種類のウィルスによって起こる呼吸器系の急性炎症です。普通の風邪(かぜ症候群)の症状:鼻水、咳、くしゃみ、喉の痛みなど軽い症状で発熱もそれほどありません。 インフルエンザの原因:インフルエンザウィルスが起こす感染症です。インフルエンザの症状:急激な発熱で高熱が1週間続くこともあります。免疫力の低下により、脳症などの合併症につながる危険性もあります。

おたふくかぜ

おたふくかぜは、唾液腺が炎症を起こし、耳の下やほほなどが腫れて痛みます。腫れや痛みは4~7日程度でひきます。症状:38℃前後の発熱(まったく発熱しない場合もあります)、ほほの腫れ、耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫れ 月齢・年齢:6ヶ月~ 季節:春~夏 原因:ムンブスウィルスの感染により起こります。 感染から7日ほどは伝染する可能性があります。片側だけが腫れる場合もあります。

RSウイルス感染症

RSウイルス感染症とは、RSウィルスによる、呼吸器感染症です。感染後は一生、再感染を繰り返します。症状:鼻汁、咳、発熱などの上気道症状が現れます。〈咳について〉吸うことはできますが、息を吐くことが充分にできず、空気を肺に取り込んだままの状態となって呼吸が困難となります。 月齢・年齢:1~3才までにほぼ100% 季節:冬 原因:RSウィルスが飛沫や接触により感染です。 潜伏期間は4~5日です。3割程度の人はこのあと炎症が下気道まで波及して気管支炎や細気管支炎を発症します。家族感染がもっとも疑われます。